vol.46『未来のミライ』上白石萌歌さん、細田守監督舞台挨拶

きょうだいの物語

細田守監督の最新作『未来のミライ』。

時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』を生み出した細田監督が今回のテーマに選んだのは「きょうだい」の物語。

まだまだ甘えん坊の4歳の男の子“くんちゃん”が、小さな木の生えた小さな中庭で出会ったのは、未来からやってきた妹の“ミライちゃん”だった。

生まれたばかりのミライちゃんに、これまで独り占めしていたお母さんとお父さんの愛情を持っていかれて暴れるくんちゃん。

「きょうだい」のいる家族としては、あるあるですね。(三姉妹の真ん中の私はずっと妹をいじめていました。姉にいじめられた記憶はありませんが。)

そんなくんちゃんが、ミライちゃんや幼いころのお母さん、若いころの曾おじいちゃんと出会い、幼いながらに「家族」というものを知り、少しずつお兄ちゃんになっていく姿をファンタジックに、でもリアルに描く細田ワールド。

名古屋の舞台挨拶で作品ができるきっかけや、オーディション、アフレコの様子などを細田監督、上白石萌歌さんが話してくれました。

ミライちゃんからくんちゃんに

――この作品ができるきっかけは?

細田監督:うちに5歳と2歳の子どもがいるんですけど、この映画を思いついたときは3歳と0歳で。あるとき上の子が、「大きくなったミライちゃんに夢で会ったよ」って言いだしまして、「え?!」と。その話を聞いてすごくうらやましいなと思いました。今は赤ちゃんだけど、成長したらどんな女性になるんだろう、お父さんも見てみたいなと思ったんですけど、子どもの夢の中には入れないので、かわりに映画を作ったというわけです。いつもは電車の夢しか見ていないと思うんですけど、そのときだけ映画の企画書のような夢をみてすごいなと思いました(笑)。

――主人公・くんちゃん役に決まったときのお気持ちは?

萌歌さん:すごくビックリしましたね。いま18歳で、年齢も性別も超えた役に声で命を吹き込ませてもらうのは自分の中ですごく挑戦だと思いました。もともと細田監督が大好きだったので、4歳の男の子役として監督の作品の一員になれたことがすごく嬉しかったです。

――共演者の皆さんとのアフレコの様子は?

萌歌さん:お父さんに星野源さん、お母さん役に麻生久美子さん、未来からやってきた妹のミライちゃん役に黒木華さん、本当に豪華な俳優さんばかりで、以前から尊敬していた先輩方ばかりだったのですごく緊張しました。同じシーンは同じブースの中で録るんですけど、そのブースがお家の中みたいな、それぐらい和気あいあいとして、最終的には家族みたいな感じのアフレコ現場でしたね。

細田監督:僕もミキサーの後ろから役者さんたちの背中を見ながら録っるんですけど、星野さんや麻生さんというよりは、お父さんお母さん。萌歌ちゃんも4歳児がアフレコしているみたいなつもりでやっていたので、背中を見ていても家族感がすごく伝わってきて良かったですよ。

――声優さんを決めるのは大変ですか?

細田監督:決めるまではすごく時間がかかるんですよ。ミライちゃんやくんちゃんは長くオーディションをやりましたし。一番最初に決まったのは麻生久美子さんのお母さん役で、僕は久美さんとは付き合いが長いので、そこは最初から決めていたんだけど、その後どの人にお願いするかというのをすごく悩みました。星野源さんはお会いしたことはなくて、アフレコ現場で初めてお会いするくらいの感じだったんですけど、ものすごい作品にぴったりきていて、どうしてこんなにお父さんに寄り添えるんだろうと。星野さんはご結婚もされていないし、お子さんもいらっしゃらないけど、お父さんの気持ちがすごく出ていて、その上でコミカルに包んでくださって、その現実感に舌を巻きました。

――上白石さんはもともとミライちゃん役のオーディションを受けていたそうですね?

細田監督:最初はくんちゃんは年齢に近い小さな男の子にお願いしようか、ベテランの大人の声優さん、例えばアニメだと野沢雅子さんのようなベテランの方にお願いするかどっちかだと思っていたんです。ところが、萌歌ちゃんがオーディションの現場にやってきたときに何かピンときて、原稿を読んでもらって、「あぁ、彼女がくんちゃんだ」と分かったときは選んでいる自分がビックリしました。まさか18歳の可愛い女の子の中に4歳の男の子がいたってことを発見できたというか、そんなのいると思わなかったから、意外でした。固定観念があるんですよ。子どもってこういう感じの人が演じるという。それを萌歌ちゃんが覆してくれるんですよね。存在感とお芝居と表現力で。あまりに良かったのでお茶を進呈しました。「これ持って行きなさい」って(笑)。

萌歌さん:いつもより美味しいお茶でした(笑)。

――初めての声優だったそうですね?

萌歌さん:そうなんですよ。正直皆さんの耳にどう届くか、まだ心配です。でも小さな子と共通して大人になってからも嫉妬したり、悲しいことも楽しいことも感情としてあって、それを一番ストレートに表現しているのが小さな子どもだと思ったので、4歳だとか、男の子だとか、そういうことは置いておいて、心の動きをなるべく一致させるようにお芝居をしたつもりです。

――一番聞いて欲しいところは?

萌歌さん:くんちゃんが劇中でどんどん成長していくんですけど、その成長を声でも意識していて、後半はちょっとお兄ちゃんぽくなっていると思うので、その部分も注目してみてもらいたいです。

細田監督:キャスティングが凄いので、役者さんたちのアドリブもたくさんあるのでそういうところを楽しんでいただきたいですね。一番星野さんが多いかな。

過去・現在・未来も“家族”

細田監督の作品は日常の中に異次元があるというか、そういう世界や出来事が、自分の身のまわりにも起きるかも…と思わせてくれます。

前作の『バケモノの子』は賑やかな渋谷の路地から違う世界に迷い込んでしまう。

今作は自宅の真ん中にある小さな庭が「家族」との媒介になっています。

くんちゃんの「家族」のルーツや未来を眺めながら、自分の家族についても考えました。

当たり前だけど、おじいちゃん、おばあちゃんにも若いころがあって、父、母もかつて子どもだった。

甥や姪は何年後かには…、いやきっとすぐに大人になる。

「家族」はこれまで続いてきて、いまがあり、これからも続いていくということ。

だからこそ、いまの家族の大切さに改めて気付くことができました。

もっと家族と色んな話をしたいですね。

先日、母と二人で旅行に行き、私の子どものころの母について聞きました。バブル時代の主婦の話(笑)。なかなか興味深かったです。

家族なのに知らないエピソードがたくさんありますね。

『未来のミライ』
公開日:2018年7月20日よ(金)
劇場:全国にて
配給:東宝
公式サイト:http://mirai-no-mirai.jp/
(C) 2018スタジオ地図
▼作品ページ

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神取恭子(かんどり きょうこ)

フリーアナウンサー、椙山女学園大学非常勤講師。愛知県西尾市出身、1977年生まれ。
現在は名古屋テレビ放送の情報番組「デルサタ」、音楽番組「BOMBER-E」にレギュラー出演。
2002年から名古屋テレビ放送(メ〜テレ)の局アナウンサーを勤め、番組「ドデスカ!」や「昼まで待てない!」などで映画監督、俳優、ハリウッドスター500人以上にインタビューを行い、舞台挨拶の経験も豊富。
他にも、報道現場でのリポートやスポーツ番組のリポーターを勤めた。
ANNアナウンサー賞 ナレーション部門受賞。
趣味は映画鑑賞(年間200本以上)、お肉を食べること(お肉検定1級)、プロレス観戦。

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